死にたがりな君と、恋をはじめる
『へぇ~』
レイはそう相槌を打ち、それから階段の残りの数段を飛び降りる。
「レイ?」
急な行動に目を丸くすると、レイはこちらを振り替えり、ニコッと明るい笑みを漏らした。
『神様にまで宣言したんだからさ。奈月は大丈夫だよ。……だから。思いっきりいじめっ子たちに言ってやりなよ』
「……え」
レイの言葉に思わず目を丸くした。
「レイ……何でそのこと知ってるの……?」
私はレイに、今日田中と対峙するということは言っていないはずだ。
それなのになぜ、レイはそのことを知っているんだろう。
目をぱちぱちを瞬かせて固まっていると、レイはくすっと笑う。
『何驚いてるの。俺が奈月の考えていることを当てるなんて、今回が初めてじゃないでしょ?』
「……そうだね」
確かに、そうだ。
レイのおどけたような仕草につられて吹き出してしまう。
……ありがとう。レイ。
私は心の中で、そっと呟く。
きっとレイは私が緊張していることがわかっていて、それで緊張を解こうとしてくれたんだと思う。
それでこんな風に言っているんだろう。
私はレイにそっと微笑むと、階段の上からレイを見降ろした。
「私をいじめたこと、後悔させてやるから」
『……あははっ。怖』
不敵に笑って言うと、レイは少し瞬きした後、ふっと笑った。
朝のすがすがしい風がスカートを揺らす。
柔らかな髪がなびいて、私はレイと笑い合った。
レイ、私頑張るよ。
……自分の幸せをつかみ取るため、今日私は田中と話すんだ。
……私は幸せになってやる。