君、思う。[短篇]
君、思う。

AIRI




「愛莉っ!」

「ちょ!」


玄関を出た瞬間、いきなり抱きつかれる私。あやうく転びそうになったところを、その元凶である男が支える。


空は晴天。
気分も最高…だったはずなのに!




「ちょっと、毎日言ってるじゃん!いきなり抱きつかないでって」

「ひどいー、俺と愛莉の仲じゃんー」



むすっと頬を膨らませ
少し機嫌の悪そうに私を見下ろすのはお隣さんの長谷川浩介(こうすけ)。


小さい頃からずっと一緒に育ってきた。

昔から女の私より可愛い顔をして、誰にでも愛嬌振りまいて、いつも周りからの人気者だった。…それは今でも変わらないけど。



「どんな仲でもないでしょ。お隣さん」

「愛莉、ひでー」




高校に入っていきなり伸びた身長。
そして染めた髪。


なんだか違う人みたいで…
最近、ドキドキしちゃう。



「愛莉、今日英語の小テストだよねー」

「ぅえ!?」



いつものように並んで登校。
これがもう18年間続いている。



「俺のクラスはもう終わったけど。」

「わ、忘れてたー」


たしか、英語のミッチー(充T)
そんなこと言ってたような…


がっくりと肩を落とす私。




「俺の見る?」

「へ!?」



単純な私はさっきまで嫌気がさしていた浩介が神様に見えて仕方が無かった。


「問題同じだしさー。教室取りにおいでよ」

「行くっ!ありがとー、浩介っ」






…あれ?








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