君、思う。[短篇]
「どうしたの?」
「…な、なんでもない!」
私から必死に顔を逸らし、
仕舞には逃げようとする浩介。
…最近、多いよなー
こうやって避けられるの。
「じゃ、2限終わったら取りに行くね」
「おー」
そう浩介が返事をしたその時。
前にいた集団の1人がこちらを振り向く。
あ…
「あー!浩介じゃん。おっはよー」
「え?浩介!?どこどこ?」
その1人の女の子の声が
周りに響いたおかげでほとんどの女子がこちらを振り向く。
この可愛い顔に
高い身長。ルックスもむかつくけど良いときたら
…そりゃあ、モテますよね。
「じゃ、浩介ばいばい。」
「え、あ、愛莉!」
それに比べて私は…
可愛くもないし、美人でもないし。
最近無性に虚しくなってくる。
浩介の隣に…素直に並べないんだ。
呼び止める浩介を無視して
私は学校に向って走り出した。
「おはよー」
「あれ、愛莉お疲れじゃん」
教室に入った瞬間に声を掛けてきたのは藤本健司。最近席が隣になって良く話すようになったんだよね。
「ちょっと、走ったからね」
「朝から走るとか超すげー」
ケラケラと笑う健司。
つられてこっちも笑顔になる。