君、思う。[短篇]
「ふー…。」
無事、浩介のおかげで
テストは無事乗り切れた。
80点以下は今日放課後、補習らしい。
「おつかれー。お前のおかげで助かったわ。」
「お礼なら浩介にして。これ、浩介のだし…。」
ひらひらと手の中で
踊るのは浩介、と名前の書かれたプリント。
…ていうか、
浩介100点とかどういう頭してんのよっ
いつもそうだった。
何やるにもずば抜けていて
いつも私の前を行く。
「だなー。礼くらい言わないとなー」
「はは。伝えとくよ。」
どうせ、帰りも一緒。
浩介が教室に迎えに来るはず。
私は健司にそういうと、
友達とご飯を食べるために席を立った。
「香、その指輪なに!?」
「あ、これ?…彼氏できちゃった」
べっとベロを出しながら
照れくさそうに笑う親友。
ま、まさか!
「例のやっくん?」
「正解ー!」
やっくんこと矢野博也は
ずっと香が片思いしていた相手。
どうやら努力が実り
結ばれたらしい。
「私に内緒とか良い度胸じゃん!」
「わー!ごめんごめんっ。今度奢るからー」
何度も頭を下げる香と、親友の幸せに自然と笑顔になる私。なんだか、良いな。こういうの。
「でもさー、愛莉には浩介君がいるじゃん」
「こ、浩介!?何それ」
ご飯をもぐもぐと食べながら
ふと言い出した香。
「好きなんでしょー。愛莉分かりやすすぎ。」
「!」
わ、分かりやすい…。
初めて言われた、かも。
「ていうか、どっちもウダウダしすぎよ」
「…どっちも?」
言葉の意味が分からなくて首を傾げてみるが香はふふっと鼻で笑うと私からの問いかけに断固拒否する始末。
うぅ、気になる!