魔王に見初められて…
少し遠慮がちに、手を握る。
「フッ…小さい手(笑)」
と言って、指を絡め繋ぎ直された。

エレベーターに乗ると、
「結愛、キスして?」
と克樹が言う。

「え?き、キス…!?」
「うん。俺今、手…塞がってるでしょ?だから、結愛からして?」
「え……恥ずかしい…」
「じゃあ…俺を見て?」
「え━━━?」
繋いでいた手をグッと引き寄せられた。

「ンン……」
「………ヤバい…キス…しなきゃよかった……」
口唇を離した克樹が、呟いた。
「え……?
ごめんなさい……」
「違う!そうじゃないんだ…
キスしたら、もう……離れられない…」
「克樹…?」
バサッ…と荷物を下に落とした克樹が、結愛の頬を両手で挟み、貪るようにキスをした。
「ンンン……んぁ……んん…」
そしてエレベーターが最上階へ着く。

「克…樹……着、いた…よ……」
口唇を離した克樹が、額をくっ付ける。
「うん…ごめんね……食材、ダメにしたね……」
「や…克樹……近いよ…」
「うん…」
「エレベーター着いたから…下りよ?」
「うん…」
「仕事も、行かなきゃでしょ…?」
「うん」
「克樹…どうしたの?」
「もう一回だけ…キス…したい……」
再度近づく口唇を、結愛は手で止めた。

「ダメだよ?車、待たされてるんだよね?」
「………わかった…その代わり、帰ったら気絶する位抱かせてね…!今日は夕食前には帰れるから」

「え……き、気絶!?////」

「ほら、荷物早くしまわないと……
行こ、結愛!」
荷物と結愛の手を握り、エレベーターを下りた克樹だった。

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