魔王に見初められて…
「あ…拓史くん?
ごめん、彼が帰ってきたから、詳しいことは華乃に聞くね!」
『なぁ…結愛』
「え?」
『お前、ほんとに俺のこと……その…好きじゃなくなったのかよ…?』
「え…やめて、また冗談……」
『そうじゃねぇよ!俺は、結愛は待っててくれるって思って━━━━━』
また再度スマホを取り上げられた。
そして通話を切られた。

「あの…克樹…?」
「電話……切ってって言ったよね…?
相手、男でしょ?尚更、許されないよ?」
そして軽々抱き上げられた。
そのまま寝室に連れて行かれ、ベッドに下ろされ組み敷かれた。

「結愛はいい度胸してるよね?
この俺を嫉妬させるなんて……そんな人間、初めて…」
「え?ごめんね…許して…」
克樹を怒らせてしまった。
怖い……でも、嫌われたくない。
そんな思いで懇願する、結愛。

「可愛いね…結愛。
ズルいな……そんな可愛い顔で“許して”なんて言われたら、許しちゃうでしょ?
…………でも、このモヤモヤは晴らさせてね?」
口唇を奪い、貪る克樹。
結愛はその口唇から、言葉にならない嫉妬と言う名の怒りが伝わってきていた。

「ンンン……むふぅ…んぁ…」
「結愛とキスするだけで…ゾクゾクする…
止まんねぇな……
結愛、今から俺の狂おしい愛情頑張って受け取ってね…!」
自身の口唇を親指で拭いながら、妖しく笑う克樹。
その表情は恐ろしい位に美しい。
結愛も身体が熱くなっていた。

結愛は無意識に、自分から克樹の口唇に自分の口唇を重ねていた。
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