狂ったのは?
 私は後ろを振り返り、先程まで通った獣道を見た。
 大通りにあれだけ桜があれば、靴を汚したり薄暗い森を通ってまでここに来る人はいないだろう。
 でもそのおかげかゴミなどが一つもないから、景観が損なわれることがなかった。
 風が吹くと静かに桜の花びらが散る光景は、周囲の暗い森と相まって幻想的に見えた。

「ハヤテさん、連れて来てくださりありがとうございます」
「いいえ。こちらこそ、気に入っていただけて嬉しいよ」

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