大好きだと伝え続けたかった

「それではみなさん自己紹介を各自お願いします〜!」

街コンというものをまだ私はわかりきっていなかった。
自己紹介シートというものを渡されて司会者がいる。その上分刻みでスケジュールが管理されていて私が想像していたような合コンとはちょっと違ったものだった。とはいえ合コンにすら行ったことがないのでそれもまた想像上のものに過ぎないのだけど。

隣ではすでに水野さんが向かいに座る男性陣と挨拶を交わしている。私も慌てて自己紹介を始めた。

「あ、えと佐倉です。水野さんとは同級生で今日は2人で参加してます」

すると同じテーブルに座る男性陣から「2人は同級生だったんだねー」などの言葉を掛けられた。
そこから先は水野さん先導に会話が進み、あっという間にタイムアップが来てしまった。
最後は連絡先の交換をしておしまい。初めてのことにあたふたばかりしてしまったせいか、なんだか会話もままならずにあっけなく感じてしまった。
お店を出ると「二次会とかします?」なんて声を掛けてもらったが、さすがにこれ以上のやりとりは無理だと思った私は水野さんと一緒に不参加でお別れすることにした。

「ごめんね水野さん。私に合わせてくれたよね」
「ううん!私もちょっと疲れちゃったから佐倉が一緒に抜けてくれてほっとした」

これ以上お話しするのは難しいよねー、と笑う水野さんに高校の頃と変わらない様子を思い出し少し安心する。街コンイベント中はどうにも私は水野さんの話す内容に乗っかるばかりしかできなくてどうしようかと思っていたので、同じ考えでいてくれたことに同じくほっとしたのだ。


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