【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
 周りから〝高嶺の花〟と褒めそよされるたびに、マリアの可愛らしいものへの憧憬《どうけい》は増すばかり。
 ここの衣装は、厳格な父親に知られないように、マリアがひっそりと集めたもの。しかし、これほどまでに大事にしているのに着たことはほとんどない。

 こんな格好で表に出たら、人々は困惑する。何があったのと心配する。
 マリア自身も試着するたびに似合わないとガッカリして、着るのをためらってきた。

(でも、レイノルド様は、こちらの方がわたくしらしいと褒めてくださるわ)

 よろこぶ恋人を想像しながら、ハンガーに指をつつつっと滑らせる。
 どれを着るべきか悩みつつ三往復して、ようやく端にあった一着を選び出した。

「これなら、なんとか着こなせるかもしれない」

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