【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
 クレロの方もマリアに目を奪われて、たまらずといった様子で足下に跪いた。

「マリアヴェーラ様、お会いできて光栄です」

 自然に手をとって口づけされる。
 スマートな振る舞いには、拒絶する暇もない。

 甘美な香水の匂いと低く艶っぽい声、まっすぐに見上げてくる瞳に当てられて、マリアの胸がわずかにうずいた。

「私は、宮廷画家のクレロ・レンドルムと申します。第二王子殿下とのご婚約に際して、ジステッド公爵家にかざる肖像画を描かせていただくことになりました。お噂には聞いておりましたがここまで美しいとは……。まるで天上に咲く薔薇のようだ」
「お褒めいただき光栄ですわ。あの、手を」
「ああ、申し訳ありません。貴方のように麗しい方を描けると思うと、嬉しくて」

 口では謝りつつも、クレロはマリアの手を離さない。そのまま、部屋の中ほどに置かれた猫脚のソファにエスコートする。

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