【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
 あろうことか、控え室で昼寝していたレイノルドに見られてしまった。しかも彼はその装いがお気に召したらしく、外出の誘いを取り次いだ使用人にこう言った。

 ――マリアヴェーラに、薔薇庭園での装いを再び見せてほしいと伝えてくれ。

 言われるまま、そのときのドレスを衣装部屋から持ってきた侍女に、マリアは固辞した。しかし侍女たちは、ここがマリアの正念場だと熱心に説得した。

『第二王子殿下からのご希望を無下にしては、ジステッド公爵家の名がすたります。どうか今日だけは、私達の申す通りにお召しください』

 押し切られたマリアは、小花柄のドレスを身につけて、編み込んだサイドの髪を薔薇の花のように丸めたハーフアップスタイルにし、手には繊細な白レースの手袋と日傘という、愛らしいコーディネートをととのえた。

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