【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
「俺が見たかったから、そう伝えたまで。何が悪い?」
「これでは嫌がらせでしてよ。この格好で外歩きなどしたら、『ジステッド公爵令嬢は、ついに似合わないドレスで街歩きするようになったわ、お可哀想』と同情目線のろくでもない噂を立てられてしまいますわ」

 他人のアラを探しに忙しい連中の抜け目無さには驚くばかりだが、人間というのはたいがいにして口が悪いものだ。
 小花柄のドレスを着たマリアは、連中にとっては格好の餌食になるだろう。

「それとも、他の求婚者が現われないように、わたくしを貶めるおつもりなのかしら。下手な先手ですこと。第二王子殿下は、よほどご自分に自信がないのですわね」

 試すように悪役を演じてみたが、レイノルドはさらりと受け流した。

「他を寄せ付けないため、か……。そういうのは考えてなかった。だが、理由ならある」

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