【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
(そんな相手とは結婚なんてできませんからね! いくら顔や、声や、口説いてくれる姿勢が好みでも!!)

「仲がよろしいんですね」

 小声で言い争う二人を先導していた男は、顔を歪めて笑った。

「レイ様が連れとくるのは初めてでしょう。恋仲ですか」
「今日、ここで落とす」
「なっ?!」

「それはよろしいことで。個室も空いてますよ」

 マリアが心の準備をする間もなく、彫り込まれた扉がひらかれた。

「どうぞ、夢の時間をお過ごしください――」
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