【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
 忘れ去っていた記憶の奥底から、誰かの声が聞こえてくる。

『ぼくが兄の代理になります。あなたの恋が叶うように、二人で願いをかけましょう』

 あのとき、目を赤くしたマリアの隣で手を組み、一生懸命に願ってくれたのは。
 いつもアルフレッドに付き従っていた、銀色の髪の、大人しい第二王子――。

「レイノルド様……」

 おどろくマリアを見下ろして、レイノルドは優しく目を細めたのだった。
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