むすんで、ひらいて、恋をして
「莉生くんのお母さんは、……七恵は、私の大親友だったの。その大切な親友が、余命僅かと知って私に連絡してきた。私に最後のお願いがあるって」



「……最後の、お願い?」



莉生が顔を上げて、呟く。



「自分が死んだら、ここで一緒に生活して、莉生くんと莉生くんのお父さんの面倒を見てもらえないかって。



最初にそれを聞いた時にはね、投薬も始まった頃だったから意識が混沌としてるのかなって、心配したりもしたんだけど」



お母さんが、続きを話すのをためらうように瞳を揺らす。



「さすがに、それはできない……って莉生くんのお父さんは、七恵に何度も伝えてた。そんなことを考えるより、少しでも長く生きてほしいって」



莉生のお父さんは、その頃のことを思い出したのか、ぎゅっと眉を寄せて、堪えるように下を向いた。



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