約束
「……ありがと」


快の右手に頬を擦り寄せて、笑う。


上手く笑えているだろうか。


最後の記憶に残る私が、どうか綺麗な笑顔であって欲しい。


私が居なくてもあなたは大丈夫だと、知って欲しい。


苦しいな。


離れたくないな。


でももう、行かなくちゃ。


「さよなら、快」


快から離れた瞬間、快が私の手首を掴み、抱き寄せた。


生きている快の鼓動が、身体中に響く。


「へへ、最後の最後に触れられるなんて、神様のプレゼントかな」


返事の代わりに、快は私を強く強く抱き締める。


そして──
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