7歳の侯爵夫人
オレリアンとコンスタンスが結婚した直後に婚約した王太子フィリップと隣国の王女は、1年以上の結婚準備期間を経て、来月結婚式を挙げる。
結婚式の後は城下を盛大にパレードするらしい。

その事実を知った時のコンスタンスの反応を心配していたオレリアンであったが、予想に反して彼女は全く意に介していないようだった。

事故後目覚めたコンスタンスは、自分は7歳で、王太子と婚約したばかりだと思い込んでいたはずである。
だから王太子の結婚は少なからず彼女にショックを与えるのでないかと危惧していたのだが、彼女はかえって心から祝福しているように見えた。
彼女は中身が7歳の少女ながら、ルーデル公爵家で暮らす間に失った記憶の情報を受け止め、オレリアンという夫の存在を受け入れていたのだ。

王都は今、王太子の結婚式と成婚パレードに向けて不逞な輩の取り締まりなど、厳重な警戒態勢をとっている。
近衛騎士であるオレリアンも、当然王太子の成婚式前には戻り、警護に当たらなくてはならない。
この休暇だって、騎士になって以来ほぼ休み無しに働いたオレリアンがやっともぎ取った休みなのだから。

本当は、王太子のご成婚に沸く王都へなど彼女を連れて戻りたくはない。
もしかしてルーデル公爵家で渋々ながらもコンスタンスのヒース領行きを承諾したのも、成婚ムードに沸く王都から彼女を離したいという意図もあったかと思われる。
だが、職務上、休暇は2ヶ月しか取れず、コンスタンスの実家にも2ヶ月で戻ると約束している。
< 140 / 342 >

この作品をシェア

pagetop