7歳の侯爵夫人

4

その時。
途方に暮れていたオレリアンの耳に、突然誰かが叫ぶ声と、パタパタと廊下を走る音が聞こえてきた。

「オレール!!」
コンスタンスだ。
愛おしい妻が、自分を呼ぶ声だ。

「オレール、どこ⁈」
パタパタパタ…ッ!
「奥様!いけません!」
「オレール!!!」

バタンッ!!
思い切り扉が開き、コンスタンスが飛び込んできた。
オレリアンは一瞬「まずい」と思ったが、コンスタンスは彼を見つけると一直線に駆けてきて、そのまま彼に抱きついた。

「オレール!ここにいたのね?」
「奥様!」
続け様にリアが飛び込んでくるが、王太子の姿を見とめて、慌てて
「申し訳ありません!」
と頭を下げた。

「大事なお客様が見えていると言ったのですが、どうしても旦那様を探すとおっしゃって…!」
「だっていつまで待ってもオレールが来ないんだもの!」
オレリアンに抱きついたまま、コンスタンスが叫んだ。

「コニー…」
夫の胸に顔を埋めてしがみつく妻を、オレリアンもしっかりと抱きしめる。
「ごめんね、コニー。寂しかったね」
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