7歳の侯爵夫人

15

翌朝になっても、コンスタンスは目覚めなかった。
あまり眠らせておくのも心配だと呼びかけたり体を揺すったりしたが、全く目を覚まさない。
仕方なくオレリアンは妻を義母に頼んでルーデル公爵邸から出勤し、夜はまた公爵邸に戻った。

王都に戻ってから時々頭痛はあったがいつもすぐに治るのに、こんなに眠り続けるのは初めてのことだ。
だが、医者も原因がわからないと言う。
とにかく心配で、夫、両親、兄、侍女と、代わる代わる付き添い続けた。

オレリアンはその翌日も公爵邸から出勤し、またその翌日は非番で、ずっとコンスタンスに付き添った。

「コニー、今日もいい天気だ。フィルが貴女と遊びたがっているよ?」
「街も落ち着いてきたから、起きたら買い物にでも出かけようね」

オレリアンは眠っている妻に、傍で優しく話しかける。

「リアに教わって、お下げを結えるようになったんだよ。ほら、貴女が気に入っているリボンだ」
そう言うとお下げ髪を持って、その先に口付ける。
お下げにはコンスタンスがオレリアンの瞳の色だから好きと言った青いリボンが結ばれている。

「コニー、早く起きてくれよ。貴女の笑顔が見れないと寂しいよ」

部屋に飲み物を運んで来たリアは、そんな主人夫妻を見て涙ぐんだ。
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