7歳の侯爵夫人
オレリアンが部屋を出て行きリアと2人になったコンスタンスは、ホッと息をついた。

「どういうことなの?リア。説明して」
コンスタンスにたずねられたリアは、ぽろぽろと涙をこぼした。
嬉しい涙なのか、驚きの涙なのか、自分でもよくわからない。
丸三日間眠り続けていた主人が目を覚ましたのは本当に嬉しいが、眠る前の主人とはあまりに違いすぎるのだ。
記憶を取り戻したのかとも思ったが、それには違和感がある。
それに、部屋を出て行くオレリアンの後ろ姿は、見送るのが辛かった。

目覚めたコンスタンスは、不審な男(=オレリアン)が部屋の中にいると認識していた。
だが、大声を出すわけでも、取り乱すわけでもなかった。
それは半年前まで常にリアが見ていた、いつだって冷静沈着な主人だ。

「お嬢様…、お嬢様は昨日、どうされていましたか?」
リアにたずねられ、コンスタンスは訝しげに首を傾げた。
「どうしてそんなことを聞くの?昨日は殿下とご一緒に舞踏会に参加したわ」

リアの手が、唇が震える。
「ではお嬢様は今…、おいくつになられましたか?」

「おかしなことを聞くのね。私は15歳でしょう?もう少しで16歳になるわ」

リアはもう、流れる涙を止めることが出来なかった。
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