7歳の侯爵夫人

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「つまり…、殿下は私を妾にご所望なのですね」
父の話を聞いたコンスタンスは呆然と呟いた。

衝撃を受けたのは当然である。
つい先日まで婚約者として想いを寄せ合ってきたはずの王太子に側妃として望まれているなど、どうして受け入れられようか。

側におきたいと望むことが例え愛情から出たことだとしても、所詮は側妃…、妾である。
どうしたって一番にはなれないのだ。
慕っていた相手にそんな風に思われたなど、日陰の身を望まれたなど、どうしようもなく哀しみが溢れてくる。

しかし、それと同時に、言いようのない憤りも込み上げてくる。
未来の夫と思い定めていた彼が、そんなことを考えるなんて。
未来の母と慕った王妃が、そんなことを容認するなんて。

王太子の元婚約者としての、公爵令嬢としての矜持が、到底許せるものではない。
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