7歳の侯爵夫人
「王妃様。夫と私が不仲とか離縁するとか、そんな話、全く根も葉もない噂でございます」
「コンスタンス?」
「結婚してすぐ別居しておりましたのは事実ですが、それは王太子殿下との婚約が解消された私を噂や中傷から遠ざけようとした夫の誠意でございます。夫は私を守るため、あえて私をヒース領に送ったのです」
「だからって新婚早々別居とは、夫として不誠実ではなくて?」
「夫は近衛騎士なのです。王都を離れるわけにはいきません」
「あら。王都で暮らす今も、別居していると聞いたけれど?」
「私が事故に遭ったため、実家の方が療養出来るだろうという彼の心遣いです。その証拠に、夫は毎日見舞いに来てくれますの」
「それは…、貴女たちは想い合っていると言いたいの?」
「ええ。夫は私を慈しんでくれていますし、私も夫を慕っております」

コンスタンスはオレリアンを擁護する発言を繰り返した。
しかしそれは、少なからず王妃の神経を逆なでしたようだ。
みるみる顔が険しくなっていき、これ以上はまずいと思い始めた頃、
『バンッ』
と部屋の扉が開いた。

「母上!こちらにコニーが来ていると聞きました!」
叫びながら入ってきたのは、元婚約者である、フィリップ王太子だった。
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