7歳の侯爵夫人

3

オレリアン様は、日の光を浴びてキラキラ光る金色の髪に、深い湖のような蒼い瞳の、本当に綺麗な男の方でした。
騎士様だからでしょうか。
立ち姿も凛々しく、言葉遣いも丁寧で、とても礼儀正しい青年とお見受け致します。

私は漠然と、この方となら大丈夫かもしれないと思いました。
王命ではありますが、当然添い遂げる覚悟で縁談をお受けしたのです。
私たちに恋愛感情はありませんが、夫婦として、あたたかい関係を築いていければ…と、そう思っていたのです。

ただ、オレリアン様に対しては、私のようなキズモノを押し付けられて、大変申し訳なく思いました。
王命とは言え、婚約解消された令嬢などキズモノ同然です。
しかも、相手はこの国の王太子様だったのですから、私はこの先どなたにも添うことなく、一生公爵家の厄介者として暮らすものと思っておりました。
それを王命で私という厄介者を押し付けられたオレリアン様は、なんてお気の毒な方なのでしょう。

ですから私は、この先ヒース侯爵家のために尽くし、オレリアン様の意に沿って生きていこうと心に誓いました。
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