7歳の侯爵夫人
その後、私はようやく『夫』であるヒース侯爵オレリアン様にお会いし、これからのお話をいたしました。
そしてオレリアン様のご好意で、私たちは『夫婦』ではなく『お付き合い』から始めることになりました。
彼が、まだ『16歳の私』を慮ってくださったからです。

交流が始まって知ったことは、オレリアン様がとても誠実で優しい方だということでした。
彼は夫のことを覚えていない私を責めるでもなく、労わり、気遣ってくれます。
無理に近づこうともせず、少しずつ、少しずつ私を癒そうと接してくださるオレリアン様に、私も少しずつ心を開いていきました。

彼の私を見る優しい目、私に触れる優しい手から、私を想ってくださっていることは十分伝わってきます。
そんな彼を、私もだんだん心待ちにするようになりました。
そしてこの方となら一緒にこれからの人生を歩いていけるかもしれないと思い始めたのです。
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