7歳の侯爵夫人
その頃から、セリーヌは会えば俺と義母との仲を問い詰めるようになった。
彼女からすれば当然の権利であるが、身に覚えのない俺は彼女の勘ぐり過ぎと一笑に付した。
仲を疑われることさえ、忌々しいと思っていたから。

だが、そんな俺の態度も、セリーヌにとっては気に入らなかっただろう。
不満が溜まったセリーヌは会うたびに俺に当たり、彼女はいつからか俺の中で、愚痴っぽく、気の短い女性になっていった。

騎士団にいながら伯爵家の仕事を覚えるだけでも大変なのに、義母を避け、恋人を宥め、2人の仲を仲裁し、俺の神経も磨り減っていたのだ。
だから、自分で思うより周りが見えていなかったのかもしれない。
かなりのスピードで、歯車は狂い始めていたのに。

義父が亡くなって半年過ぎた頃からだったか…、騎士団の友人から、セリーヌに浮気の噂があると聞かされた。
相手は俺の友人でもあったから悪い冗談だとその時は聞き流したのだが、その後しばらくしてセリーヌから別れを切り出され、俺は噂が真実だったことを知った。
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