7歳の侯爵夫人
ーまるで、人形のようだなー。
それが、その時俺が彼女に持った印象だった。

俺は、
「コンスタンス嬢を、私の妻としてお迎えすることをお許し願いたい」
と淡々と告げた。

義両親になる公爵夫妻、義兄になるエリアスも、筋書き通り、それを淡々と了承した。
ただ、義母カレンの処遇だけは言及された。
公爵家の調べでも、カレンについての良くない噂は耳に入っていたからだ。

公爵家の希望はコンスタンスと義母を関わらせないことであり、当然同居させないことだった。
俺には煩わしい親戚もなく、政治的な背景もないことが王妃様のお眼鏡にかなったようだが、年若く妖艶な義母の存在だけが、不安材料であったようだから。

もちろん俺自身もそれは考えていたことであり、王都を離れることを嫌がる義母に別邸を充てがおうと思っていた。
義父が亡くなって以来余計に俺に纏わりつくようになり、セリーヌとの破局に追い込んだ義母が、コンスタンスを邪険にしないはずがないと思われたから。
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