7歳の侯爵夫人
義父は義母が困らない程度以上に遺しているはずだ。
たしかに義父には感謝している。
だが、義母に感謝する謂れは全くない。
それに、コンスタンスの持参金は王家からの慰謝料も含まれており、全てコンスタンスのために使うべき金だ。
結局は俺がヒステリックに泣き叫ぶ義母を面倒に思って放置したことが、どんどん彼女をのさばらせる結果に繋がっている。

「今度ヒース侯爵の名前で何か買おうとしたら、今度こそ出て行ってもらいます」
冷ややかにそう告げると、義母は眉を吊り上げて俺に摑みかかろうとした。
もちろん軽く避けてやったが。

「オレリアン!」
「追い出されたくなければ大人しくしていることだ」
睨みをきかせながら告げると、俺は義母に背を向けた。
まだヒステリックに何か叫んでいるが、知ったことか。
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