保健室で、君と最後のキス
すると、目の前にびっくりした顔の日向の姿があった。
「莉奈ちゃんおはよう」
いつも通りの眩しい笑顔で挨拶をしてくる日向。
「おはよ…ってどうしたの?」
日向がこんな早く家を出てるなんて、絶対ないと思ったのに。
「ちょうど今莉奈ちゃん家にピンポンしようしてて、一限で昨日貸した辞書使うからさ〜」
返してもらおうかな、と言いながら右手で頭を掻きながら笑っていた。
多分、今日向は嘘をついている。
昔からなにか誤魔化そうとするときに、日向は右手で頭を掻く癖がある。
辞書を返すくらいならいつもの時間でも間に合うし、朝弱い日向がわざわざこの時間に来たってことは…。
きっと葵先輩とのことを話すつもりなんだろう。
「莉奈ちゃん今日も歩いてくんでしょ?僕の自転車乗ってきなよ」
後ろに置かれた自転車を指さしながら、私を誘導する。
今日は仕方ない、諦めて日向の言うことを聞こう。
「うん、じゃあお願いしようかな」
昨日と同じように日向のお腹に腕を回す形で、自転車の後ろに乗った。
「今日もちゃんと掴まっててね〜」
チラッと私を確認すると、ゆっくりとペダルを漕ぎ始めた。