保健室で、君と最後のキス
私は今彼女がいる相手に抱きついて、二人乗りをしている。
日向にとって家族同然なんだとしても、私のこの胸の高鳴りがそれを否定する。
今日で最後、今だけ我慢…。
早く話を済ませて欲しいのに、日向はさっきから全く関係のないくだらない話しかしない。
本人の口から直接聞くのは怖いけど、昨日で既に何度も実感したことだ。
胸が張り裂けそうな思いを置いて、私はついに声に出した。
「日向、葵先輩と付き合ってるんでしょ」
最後の方声が震えてしまった、などと考える間もなく、キキーッと音を鳴らしながら急ブレーキがかかる。
重力で体が完全に密着してしまい、急いで体制を戻す。
と、見えたのは耳まで真っ赤になった日向の後ろ姿だった。
「な、なんで、莉奈ちゃんが知ってるの」
ボソッと下を俯きながら日向は呟いた。
こんな時でさえ、その姿を愛しいと思ってしまう。
唇を強く噛んだ後、一度深く息を吸った。
「もう学年中噂になってるよ」
「えっ、えぇ?」
あいつら喋ったな、とブツブツ何かを言う日向。
「おめでとう、よかったね!」
精一杯の笑顔で祝福の言葉を述べる。
その言葉を聞いて、日向はこちらを振り向いた。
「ありがとう、莉奈ちゃん」
まっすぐ目を見て、陽だまりのような笑顔で、そう言った。