秘密の一夜で、俺様御曹司の身ごもり妻になりました
それでここにいることに息苦しさを感じて、ソファから立ち上がった。
「あの……まだ頭が混乱しているので自分のアパートに帰ります」
 悪夢を見ているんじゃないだろうか。
 もう一度自分の家で寝れば現実に戻るかも。
 そう希望を持ったのだが、神崎さんに手を掴まれた。
「待った。紗和のアパートは結婚する時に解約したし、和真の法律事務所ももう辞めている」
 え? そんなの知らないよ。
 とにかく神崎さんと一緒にいるのは避けたい。
 なぜだか知らないが、私の脳がそう訴えているのだ。
「じゃあ、しばらくお兄ちゃんのマンションに……!」
 兄に助けを求めるも、冷たく断られた。
「もうお前は朝倉紗和じゃなくて神崎紗和なんだ。総司の家がお前の家だ。間違えるな。俺は仕事があるから帰る」
腕時計をチラッと見て兄は神崎さんと目を合わせると、この場から去った。
 神崎さんとふたりきりにされ、急に緊張してきた。
「えーと……私……あの……まだ神崎さんと結婚してるって信じられなくて、どこかホテルに泊まります」
 
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