政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
 専務自身が一千万私に貸してくれる。ここで働くのを条件に? たったそれだけの条件で?

 首を傾げると、専務は人差し指と中指を立てる。

「君は返済が終わるまで、ここで働くこと。そして、西園寺をあきらめること。条件はこのふたつ」

「働きます! もちろん、もちろん働かせて頂けるなら」

「そうか、なら取引成立だな」

「ありがとうございます、専務。ほんとうに、なんと言っていいか」

 最後は涙声になっていた。

「なんでも言ってください。私、がんばりますから」

 うなずく専務は、ふと思い立ったように口火を切った。

「じゃあちょっとお願いしようかな。来週の北海道への出張、君も付き合ってくれる?」

「もちろん! どこまででも付いていきます、専務」

 須王専務は、クスッと口元をゆがめる。

「よし、いい娘だ」

 私の手を握っていた両手を放した専務は、ポンポンと軽く頭をたたいてハンカチを差し出した。

「さあ、もう泣かないで」
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