政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~

 ひとしきりぼんやりしたところで起き上がり、廊下の窓際に立った。

 冬の空らしい青くてきれいな空が広がっている。

 天国から急直下。気鬱な日々だったから天気を気にする余裕もなかった。

(今日は、こんなにいい天気だったんだ)

 見上げていると、須王専務の頼もしい笑顔が空に浮かぶような気がした。

 ――専務。

 しみじみと浸っている自分に気づき、左右に首を振ったけれど、想いは振り切れない。

 今にも壊れそうで、崩れそうで、溶けてしまいそうな。
 多分。今の私は、切なさに支えられている。



 夕方、専務のもとに急なお客様がきた。

 ホテルチェーンを展開する佐山グループの社長と令嬢である。

 お客さま用のコーヒーを用意していると「お疲れさま」と、先輩秘書の梨花さんがひょっこりと顔を出した。

「佐山グループの令嬢が来ているんですって?」

「えぇ、お父さまの佐山社長とご一緒に。今、コーヒーを出すところですよ」

「あら、そうなの」
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