政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
「え! 本当ですか?」

「ああ」

「専務は休めましたか?」

「うん。いつの間にか熟睡していた」

「それはよかったです」


 迎えの車に乗り、向った先での工場の視察も予測の範囲内で予定通りに事は進んだ。

 時間的には丹頂鶴を見に行く余裕もあったけれど、天気のほうは予定通りに行かなかった。急速に発達した低気圧は、突然の大雪を降らせはじめたのである。

「須王専務、この雪はますます酷くなります。空港まで無事たどり着いたところで、欠航の可能性も高いかと。お忙しいでしょうが、今のうち安全策をとってお泊りになってはいかがでしょうか?」

 宗方さんに相談したほうがいいのかと戸惑う私をよそに、専務は「そうですね」と、さらりと答えた。

「え? でも専務、明日は会長が」

 明日の午前中、須王会長を迎えての大切な会議がある。

「大丈夫さ、宗方がいる」

 まったく気にする様子もない専務は何度か電話をかけて、私と専務はその日、釧路に一泊することになった。
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