政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
 こちらになりますと案内された部屋は、予想以上に広い部屋だった。

「うわぁ、広い」

 窓の外は降りしきる雪しか見えないけれど、部屋は広々として暖かい。

 本物の焚き木ではないけれど暖炉では赤い火が揺れていた。

 中央の居間からそれぞれ分かれた空間が横に伸びている。寝室は向かって右と左に分かれていて、これならば気を遣わずに済みそうだ。

 簡単な説明をして、仲居さんが部屋を出ると、当然ながらふたりきりになる。

「へぇ、いい部屋だな」

 専務はのん気に部屋を見回すけれど、私はなんとも生きた心地がしない。だって――。

(ひえっ)

 部屋風呂はガラスで仕切られていて、丸見え!

 大浴場が故障中と言っていたから、入るならこのお風呂しかないけれどこれは無理。無理、無理ーーと、心の中で叫んだところで、専務がスルスルとカーテンを下ろした。

「大丈夫だよ。これで見えないから」

「あ、あはは。そ、そうですね」

 いやでも、カーテンですよ? ちょっとずらせば見えますよ。
< 117 / 206 >

この作品をシェア

pagetop