政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~

 長い一日だった。

 会長の話がどんな内容で、専務がどう収めてくれたのかは結局わからなかった。

 仕事が終わり会社を出て、ぼんやりしながらマンションへと帰る道すがら、ひときわ輝くイルミネーションの灯りに目を留めた。

 SNSに写真アップするのだろうか、ツリーに向かってスマートホンをかざしている女の子がちらほら見える。

 気づけばもうすぐ年末だ。

 秘書課に異動してからの二か月はあっと言う間に過ぎた。寂しげな風が吹いた秋は終わり、ジングルベルが鳴り響く賑やかな年末の真っ只中にいるんだと、今更のように気づいた。

 何の気なしに振り向いたショウウィンドウの中で、ペアリングがスポットライトを浴びている。

 その輝きに心は浮き足立ったけれど、すかさず脳裏に浮かんだ須王会長の怖い目に心はシュンと沈む。

 と同時に、ペアリングを指にした織田の令嬢がガラスに浮かんだ。
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