政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
 元財閥系の名家、須王家の御曹司とお付き合いを望むほど、私だって身の程知らずなわけじゃない。地方の元小金持ちの娘が望んでいい幸せかどうかなんて、言われなくてもわかっている。

 だけど、好きな気持ちは自分では止められないんだもの。

 片思いの恋くらいしたっていいじゃないですか。

 切なさで支えられている終わりが見える恋くらい、いいじゃないですか。

 とっくに覚悟はできている。織田の令嬢だとしても別の女性だとしても、専務が誰かと婚約してそれを受け入れる心の準備も整っている。

 今はただ、この燃えるような気持ちが鎮火するのを静かに待っているんです。

 それしかできないから……。

 会長は会社を辞めてほしいと思っているだろうけど、私は借金が返せるまで働かなくちゃいけないんです。

 ――だから。

「はぁ」

 吐いた息が白くなるのを見つめながら、自分をとりまく冬の冷たさを思った。

 なんだかんだ言っても、専務の優しさに甘えている自分が一番罪深いのかもしれない。

 それでもどうか、あと少しだけ。

 専務が結婚してしまうまで、側にいてもいいですか?
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