政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
アルコールが入っているから無理よね、と思いながらクスっと笑う。
会社でアイリッシュコーヒーはいれられない。
温かいコーヒーは、喉を温めながら伝わり落ちて体の奥を熱くする。
専務が幸せになるのを見届けてからと思っていたけれど、もう無理かもしれない。
叶わぬ恋。
青扇学園時代、幾度となく身分違いの恋を見かけた。
一方だけが御曹司や令嬢だった恋は、たとえその恋が本物だとしても長くは続かなかった。
どちらかが、ふと気づくのだ。やっぱり無理だと。
ブブブ。
飲み終わるのを待っていたようにスマートホンが震えた。
弟の蒼生からの電話だ。
『詐欺師見つかったよ!』
「え? ほんとに」
『詐欺師が捕まったんだよ。マンションは手放すしかないけどいくらかのお金は返ってきて、借金は完済できそうなんだ』
「そうなの? よかった」
喜んで電話を切った途端、真逆の思いが込み上げてきた。
これで、この先もtoAで働かなければならない理由が一つ消えた。
自分の気持ちを支えていた大義名分が形を失い粉となって、指の間から零れ落ちるようだった。
***
会社でアイリッシュコーヒーはいれられない。
温かいコーヒーは、喉を温めながら伝わり落ちて体の奥を熱くする。
専務が幸せになるのを見届けてからと思っていたけれど、もう無理かもしれない。
叶わぬ恋。
青扇学園時代、幾度となく身分違いの恋を見かけた。
一方だけが御曹司や令嬢だった恋は、たとえその恋が本物だとしても長くは続かなかった。
どちらかが、ふと気づくのだ。やっぱり無理だと。
ブブブ。
飲み終わるのを待っていたようにスマートホンが震えた。
弟の蒼生からの電話だ。
『詐欺師見つかったよ!』
「え? ほんとに」
『詐欺師が捕まったんだよ。マンションは手放すしかないけどいくらかのお金は返ってきて、借金は完済できそうなんだ』
「そうなの? よかった」
喜んで電話を切った途端、真逆の思いが込み上げてきた。
これで、この先もtoAで働かなければならない理由が一つ消えた。
自分の気持ちを支えていた大義名分が形を失い粉となって、指の間から零れ落ちるようだった。
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