政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
 何かいい方法はないか?
 どうしたらいい?

 そんな事を考え込む日々が続いたある日、宗方さんが時計を見ながら聞いてきた。

「お客さまがまだお見えになっていないのですが、何か連絡はありませんか?」

「あっ」

(しまった!)

 私は大きなミスをした。

 日程の変更の電話を受けていたのに、伝え忘れていたのだ。

 その電話があったとほぼ同時に、たまたま先輩秘書からお茶出しの手伝いを頼まれて、そのまま忘れてしまっていた。

 相手は大切な取引先。

 先送りの変更だからまだよかったけれど、宗方さんが須王専務のスケジュールのチェックをすると、その時間には既に別の会議の予約が入っている。

「吉月さん、わかっているとは思いますが、あってはならないミスです。今回は何とか調整しますが、二度とこんなことが起きないように気をつけてください」

「はい、ほんとうにすみませんでした……」

 普段優しい宗方さんに言わせてしまって申し訳ない。

 会社をクビになるわけにはいかないのに。
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