王子と姫の狂おしい愛
「琥珀様、会社近くに美味しいカフェを見つけましたの。今度ご一緒しませんか?」
「広報課へは、いつ研修に来られますか?」

琥珀と椿姫は、こんな風に声をかけられた時、対応が全く違う。
椿姫は、
「ありがとうございます!
そうですね。今度タイミングが合えば、少しご一緒します。でも二人ではちょっと……
皆様と一緒になら、大丈夫ですよ」
と、やんわり断る。

一方…琥珀は、
「は?
ご一緒しない。
研修は行くが、気安く話しかけるな!」
と、ばっさり切り捨てるのだ。
そこまで言うと、椿姫のところまで向かう。
これもいつものこと。

「椿姫、行こう」
椿姫の腰をさりげなく支え、男達の輪から外させる。
そして、端の方まで連れていく。
「椿姫、帰ろ?
帰って、椿姫を抱かせて?」
「琥珀、ダメだよ?まだパーティーの途中でしょ?」
「いいじゃん!それか、ここの部屋とる?」
「だから!いつも言ってるでしょ?
琥珀だって、まだ挨拶があるんだよ?もう社会人なんだから」
頭を撫でながら、言った。

「失礼します。
琥珀様、○○コーポレーション社長が挨拶したいとの事です」
琥珀の執事・井高が声をかけてくる。
「あ?
嫌だ!椿姫といる」
「琥珀!だから、子どもだって言われるのよ」
「じゃあ…椿姫も一緒に来いよ!
婚約者だから、いいだろ!?」
「……わかった。じゃあ、行こう!」
いつもこんな風に琥珀が駄々をこねる。
それを椿姫がなだめるのだ。
いつもパーティーに出席すると、こんな感じなのだ。

ここまでは━━━━━━━
でも今日は少し、違った。

「椿姫!」


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