桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
少ない言葉でちょっとでも私を安心させようとしてくれる匡介さん、この人の優しさは契約結婚の範囲を超えていると思う。
それでもこの温かさが私が欲しがっていたものだと感じ、彼の背中にしがみつくようにこの身体を寄せた。
「こわいから、そばにいて……もっと、そばに……」
「ああ。杏凛がそう言ってくれるなら、俺はいつまでも傍にいる」
大きな雷鳴に耳を塞ぎたいが、そうすれば匡介さんを掴んでいる手を離さなければならない。どうしようか迷い震えていると、匡介さんは少し身を屈めそのまま手を差し入れ私を抱き上げて……
「あ、あ……きょうすけさん?」
「少し大人しくしていてくれ、ここでは身体がきついだろう?」
そう言った匡介さんは私をお姫様抱っこのままソファーまで移動し、その体勢のまま彼はその場に腰を下ろした。
ソファーの上でこんな風に抱き寄せられたまま。
いつもなら恥ずかしくて大騒ぎしていたかもしれないが、雷雨に怯えていた私はそんな状況でも匡介さんから離れようとは思わなかった。
「そのまま俺に抱き着いていてくれ、俺が君の耳を塞いでいるから」
匡介さんに言われるままに両腕に力を入れて抱きつくと、彼はその大きな手のひらで私の両耳を塞いでくれる。
もちろん雷の音が全く聞こえなくなるわけではなかったが、直接触れる彼の体温に心が落ち着いていくのを感じた。