桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
心が落ち着いて来れば次第に、今自分がどのような状況に置かれているのかを理解する。私がいる場所はリビングのソファーだが、いつもとは決定的に違う事があった。
……私のお尻が乗っているのはいつものふかふかソファーの上ではなく、匡介さんの筋肉質な太ももの上なのだから。
まともに抱き合う事すらない私達なのに、今はこんなことになってるなんて……
「あの、私すぐに降りますから……」
そう言いながらも自分の腕はしっかりと匡介さんの首に回されている。やはり今すぐ離れるのは不安の方が大きかった。
そんな私の本心を匡介さんは全て見抜いているかのように、先ほどから耳を塞いでいた手の指先で優しく私の栗色の髪に触れる。
「杏凛が気を使う必要はない、俺がやりたくてやっている事だ。頼むから夫としての役目を奪わないでくれ」
「で、でも、それでは……きゃあっ!」
それでも悪いからと匡介さんから身体を離そうとした瞬間、また空が眩しく光る。稲光が恐ろしくて、気がつけばまた匡介さんにしがみつきブルブルと震えていた。
甘えていい、そう言われると人間は弱くなるのかもしれない。いつもは誰かに抱き着いたりしないのに、匡介さんが手を広げてくれるから飛び込んでしまいたくなるの。
「そんなに甘やかして、優しくばかりしないで……」