桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
「……天然石? もしかして、あれが?」
そう言えば先日、封筒に入れられた天然石を見た時も何か違和感を感じた。深くは考えなかったけれど、あれから何となく落ち着かない気分になって……
よく考えてみれば、私は天然石のアクセサリーを一つも持ってはいない。綺麗だとは思うけれど、何故かいつも欲しいとは思わなかった。
「天然石? 君はそれをどこで目にしたんだ……?」
「料理教室の生徒さんのブレスレットが切れたの、それを拾って渡しに行こうとしていたら強い眩暈がして……」
いつもの発作は呼吸が苦しくなることがほとんどで、あんなふうに目の前が真っ暗になる感じはなかった。一気に意識を失わさせられるような、そんな強さは。
「それを見て杏凛、君は……いや、何でもない。その天然石はどうしたか分かるか?」
「多分、倒れた時に手から零れ落ちたと思うわ。ねえ、匡介さんはその事について何か知っているの?」
私がさっきの事を話すたびに、匡介さんは何か考えるような仕草を見せる。それが私の中でずっと引っかかっていた。
この人は私の知らない何かを、本当は知っているんじゃないかって。
もし知っているのだとしたら、何故私にそれを教えてくれないのか? それがただの過保護からくるものだとは思えなかった。
それなのに……
「今の杏凛に話せるようなことは何もない、今は余計な事は気にせず休んでいなさい」