桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
どうしてこうなったのかしら? 匡介さんから一度離れる事で、少しだけこの気持ちの切り替えをしようと思っていたのに。寧々と二人で会話を楽しむはずだったのに、それも出来そうにない。
「……あの、匡介さん。私はやっぱり部屋に戻ろうかと」
私の隣を当然という顔で歩く夫に、戸惑いながら話しかける。一緒に出ようと言い出した寧々は「旦那様が一緒なら、私はいりませんよね?」なんてあっさりと私を匡介さんと二人きりにさせてしまった。
「なぜだ? 杏凛は買い物をしたいのだろう、俺が荷物を持つから好きなだけ選ぶといい」
いえ、貴方と一緒だと余計に気が滅入りそうなんですとは流石に言えない。寧々の時のように会話が弾むわけもなく、ただ黙って匡介さんの隣を歩いていると息が詰まりそうだった。
私が知りたい事には少しも答えてくれないくせに、こんな風に優しくしてくるのは狡いと思う。
「そうはいきません。匡介さんの稼いだお金を、ただの契約妻でしかない私が好きに使うなど……」
もちろん私だってそれなりの貯金は持ってきている。だけども匡介さんは結婚してからは、彼のお金で生活するように私に言ってきたのだ。
仕事もしない、彼を妻として支えることも出来ない……そんな私が彼のお金を使うのは気が引けた。
「この結婚が契約だろうが杏凛は俺の妻なんだ、好きに使うといい。それに君の欲しいものを買ってやれるくらいの稼ぎはあるつもりだ」