桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
部屋の机から薬を取り出し、朝の分を服用しておく。主治医にお願いして最低限の量にしてもらっているので、新しい生活に慣れるまで気を付けなければならない。
それでも今日のようなことが続けば、私だって心穏やかに過ごすというのは難しい気もしてくるのだけど。
「杏凛様、旦那様が休んでいらっしゃるのならば私と買い物にでも行きましょうか?」
「寧々と一緒に? それなら私も……」
彼女と一緒ならば安心なので、気分転換にそうしようと思った。ここにいて二人で話していれば、匡介さんもゆっくり休むことが出来ないかもしれないし。
だけど返事の途中で匡介さんの部屋の扉が開かれて……
「杏凛が出かけるのならば、俺も一緒について行く。用意をしてくるから少し待っていてくれ」
「……え? ですが匡介さんは疲れていらっしゃるのでは?」
今の彼は部屋着に着替えていて、さっきまで休んでいたのだと分かる。それなのに私たちの会話を聞いてわざわざ起きてきたの?
「構わない。杏凛はまだこの辺の地理に慣れていないだろう? そんな妻を一人で出歩かせるわけにはいかない」
「……いえ、寧々が一緒ですけど」
そう言い訳してみたけれど、匡介さんは聞く耳を持たないという顔で準備をするために部屋へと戻って行ってしまった。