桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜


「そうだ、君は服も少ししか持ってきていなかっただろう? 俺の知り合いが経営している店がこの近くにあるから、そこに行こう」

「ええっ? ちょっと待って、匡介(きょうすけ)さんっ」

 そう言って彼は私の手を掴んで当然のように引っ張っていく、いきなり強引になる匡介さんに私は戸惑うばかりで。
 確かに私は新居にあまり荷物を持っては来なかった。だけどそれはこの結婚が短い期間だけを共に過ごすという事と、自分が滅多に外に出ないため必要ないからで……
 それに普段からそう高い服ではなく、着心地の良い値段もリーズナブルなものを選んで買っているくらいなのだから気が引ける。

「あの……匡介さんに服を買ってもらっても、私には着る機会もありませんし」

 私の言葉に目の前のブランドショップに入ろうしていた匡介さんがピタリと足を止める。
 良かった、分かってくれたのだと私は思ったのだけど……

「何故だ? 服ならば杏凛(あんり)が俺と出掛ける時にいくらでも着ればいい。それとも自分の妻を着飾らせたいという夫はおかしいのか?」

 匡介さんに真剣な表情でそう聞かれてしまい、返答に困ってしまう。
 確かに普通の夫婦であればおかしなことではないと思うけれど、私達は契約で結ばれただけの関係なのだから。


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