桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
匡介さんの言葉にもしかしてと思った私が振り返ると同時に、部屋のインターフォンが鳴って……
「鵜方先生だろう、君はこのままで待っていてくれ」
先生が来てしまったからには匡介さんの言葉の続きを聞くことは出来ない、こんなタイミングの悪さが重なって私達は段々すれ違っていくのかもしれない。
最初から諦めていた結婚生活なのに、そう考えると少し寂しい気持ちにもなる。
部屋の扉が開く音がして、今度は二人分の足音がベッドに近付いてくるのが分かる。匡介さんは今日の症状を鵜方先生に細かく報告しているようだった。
「調子はどうだい? 杏凛」
柔らかな笑顔を見せてくれる鵜方先生、匡介さんとは正反対の柔らかな色素の薄い容姿に穏やかな雰囲気の男性医師。こんな容姿だけど目立つのを嫌い、小さな親の個人病院を継いでいるような人。
だけど患者一人一人をしっかり診てくれるから、鵜方先生の腕は確かだと思う。
「今は落ち着きました、わざわざここまで来ていただきすみません」
すでに発作は落ち着いていたので、ゆっくりと身体を起こして鵜方先生に頭を下げる。それにしても、彼がここに来るのがやけに早かったような……
「いいや。僕は今日この辺に用があったし、事前に鏡谷さんから連絡をいただいていたからね」
「え、匡介さんから……?」