桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
「そんなものは君がこの料理教室に通いたいと言った時から、調整し今日の分まで片付けておいたから問題ない」
そんなに前からついて行く気だったのならなぜ黙っていたんです? 匡介さんが訳の分からないところでもの凄い過保護さを発揮するのはいったい何故なの。
仕事の時は使用人の寧々に相手をさせて、毎日夜遅くまで放ったらかしのくせに!
ふと考えてみると、これでは自分が相手をされずに拗ねてるみたいに思えて……そんなはずは無いと今の考えを無かった事にする。
「私は匡介さんにそんなこと頼んでないですよね、そういう無理をするから余計に家に帰ってくるのが遅くなるんです!」
そんな事を考えて無理されたって私はちっとも嬉しくなんかないんです。それよりももっとその身体をいたわって欲しいと思う事は、契約妻の私には許されないの?
私もこんな性格だから、匡介さんに対してそんな優しい言い方も出来なくて……それに匡介さんも全然私の言う事を聞こうとはしてくれない。
「俺の事は気にしなくてもいいと、いつも言っているだろう?俺は杏凛の為ならば――――」
「そこまで気を使って頂かなくていいと言っているんです、期間限定の契約妻の私なんかに!」
そんな風に匡介さんが私に色々してくれても、こちらからは何も返すことが出来ない。契約という形の結婚をしているのに、私が彼に差し出しているのはこの三年間という時間だけ。
そのまま言い逃げのように私は【契約妻】という言葉を強調すると、急いで料理教室への階段を上って行った。