桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
「もう瞳の腫れもだいぶ良くなってきましたし、そろそろここから出ませんか? その……そろそろお腹も空いてきましたし」
このまま話していると、匡介さんの存在がどんどん心の中で大きくなってしまいそうな気がして。ちょうどお昼時でもあったので、早くこの場所から離れようと考えた。
いつもより柔らかな雰囲気で、私に気を使いどれだけでも優しくしてくれる。もう十分なくらい良くしてもらってるもの、契約妻でしかない私が。
「そうか? じゃあ昼食は……」
匡介さんはスマホをチェックし、何店かのレストランを私に見せてくれる。どれも若い女性が好みそうなお洒落な店ばかり、もしかして意外とこういう事に慣れていたりするのかしら?
強面の彼の本当の優しさ、真っ直ぐな考え方に惹かれる女性がいてもおかしくはない。想像すると何だかモヤモヤして……
「今日は、私が行きたい場所に匡介さんがついて来てもらってもいいですか? ここからは少し遠いですけど」
いつもは匡介さんに選んだお店について行くだけなのに、今日は違った。どうしてかは分からないけれど、私の好みのお店に彼を連れて行きたいと思ったの。
……図々しいかもしれないけれど、もう少しだけ知って欲しいと思ってしまったのかもしれない。妻である私の事を。