彼と彼女の取り違えられた人生と結婚
優とジュリーヌ

「どうぞ」

 宇宙がカップに紅茶を入れて持って来た。
 心地よいバラの香りの紅茶が程よく漂ってきた。

「有難うございます」

 向かい側に座った宇宙は、優が見つめていた写真に目をやった。

「上野坂さんは、スポーツは得意でしたか? 」
「はい、小学校の時に少年団に入りサッカーをやっていました。中学になると部活でサッカー部に所属して、高校生から大学まではサッカークラブに所属していました。それほど強いチームではなかったのですが、県大会にし出場して3位入賞まではしたことがあります」

「それはすごいですね。私も学生時代はバスケットボールをやっていました。国体まででましたが入賞はできませんでしたよ」
「そうでしたか。それで、息子さんはスポーツが得意なのですね? 」

「そうかもしれません。でも柊がサッカーが好きなのは、天性ものかと思っていました」

 天性もの?
 どうゆう事なのか? と、優はキョンとした目をしていた。

「よく、コーチに言われたのですよ。何も言わなくても、体で覚えてくれるみたいで上達も早いって。お父さんかお母さんが、サッカー選手でしたか? と、よく聞かれましたよ」
「そうでしたか。スポーツの才能は、遺伝すると言われていますからね」

 
 カップの紅茶を一口飲んで、宇宙はじっと優を見た。

「上野坂さん。今日、私と話したい事は…お兄さん事ですか? 」

 図星をさされて、優はドキッとなった。
 そんな優を見て、宇宙はそっと微笑んだ。

「樹里ちゃんにお兄さんがいる事は、少しだけお聞きしておりました。実際にはお会いしておりませんが、なんとなく樹里ちゃんを通してお兄さんを見ておりました」
「樹里をとおして? 」

「はい」

 小さく笑った宇宙は、そばにあったメモ長を手に取り何か書き始めた。

 何を書いているのだろうか?
 そう思って見ていた優。

「こんな感じの人でしょうか? 」

 メモ帳に書いた絵を優に渡した宇宙。

 受け取った優は、宇宙の描いた絵を見て驚いた。

 まだ会っていない大紀の似顔絵を、宇宙はとてもリアルに描いていた。
 鋭い目つきはまるでその場で見たかのように、とても現実的に描かれている。

「当たりでしたか? 」
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