冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
『俺がこうやって触れるのや嫌か?』
手を握られながら聞かれ、首を振る。
横になっている状態なので、耳元で生地のこすれる音がした。
『いえ、そんなことはないです』
『じゃあ、嫌になった時点で言え』と前置きした岩倉さんが、私の体を抱き寄せる。
同じベッドには寝ていても、今まで体が触れることはなかった。
シングルをふたつ合わせたような広さがあるから、適度な距離感を保ち横になっていたのだけれど、今はその距離がゼロになっていて、目の前にある岩倉さんの胸板にも、背中に回っている腕にも、心臓がさっきとは別の意味でドキドキしていた。
岩倉さんは私を片手で抱き締めたまま、もう片方の手で頭を撫でたり、背中をポンポンと撫でる。
そして、おでこやこめかみ、鼻先、頬に唇で触れた。
足が絡み、思わず『岩倉さん、あの……』と戸惑いの声を上げると、そこでピタッと止まった彼が『嫌か?』と聞く。
私をまっすぐに見つめる瞳には優しさが溢れていて……うなずこうとは思わなかった。
『……いえ。嫌じゃないです』
そう答えたのを合図みたいにして、自然と唇が重なり、そして――。
経緯を話し終えてから、笑みを浮かべ江並さんを見た。